歯を失った際に選択する治療方法としては義歯(いれば)、ブリッジ、インプラント、歯の移植などがあります。
『適切なインプラントの情報が共有され、患者様が迷わないように!』
今後、私が大学病院で専攻していたインプラント治療に関する情報を丁寧にお伝えしますので、ご興味ありましたらお読みになってください!
専門的な部分や客観的なデータを用いながら解説していきます!
目次
◾️インプラントとは?
インプラントは『身体の中に埋め込む人工物の総称』を指します。例えば、心臓のペースメーカーや、大腿(だいたい)骨の置換に用いられる人工材料もインプラントとなります。中でも歯科領域に使用されるのはデンタル(歯科)インプラントと称されます。
歯科に用いられるインプラントは、ネジ状の構造で、材質はチタンからできています。また上部のパーツ(かぶせもの)と下部のパーツ(インプラント体)に分けられます。
◾️インプラントは歴史のある治療なの?
お口の中にインプラントを埋め込むような行為は、紀元前からなされてきました。以前は様々な材料が使用されており、治療法としての確立はしていませんでした。転機が訪れたのは1952年で、スウェーデンにてペル・インヴァーグ・ブローネマルク(P. I. Bruanemark)博士が、研究中にチタンと骨の親和性を発見し、10年ほど動物研究がなされ、1965年に初めてチタン製インプラントがヒトへ使用されました。これが治療法の進歩をもたらし、現在はより強固なチタン合金が使用されています。
◾️オッセオインテグレーションって?インプラントが骨にひっつく?
英語表記ですとOsseointegrationとなりますが、Osseo(骨の)integration(統合)を指す造語となります。ブローネマルク博士は、チタンと骨が引っ付く現象を『オッセオインテグレーション』と呼称しました。
オッセオインテグレーションの定義は様々存在しますが
The direct structural and functional connection between living bone and the surface of a load-bearing artificial implant (Albrektsson et al. 1981)
直訳すると、アルブレクソンらによる定義では、力が加わった状態(load-bearing)のインプラント表面と周囲の骨との直接的・機能的な結びつき(connection)としています。
“骨内に埋め込まれたインプラント体が光学顕微鏡レベルで直接骨支持、接触すること”
上記は口腔インプラント学会の治療指針に記載されている定義となります
『インプラントって骨と結合しているの?』
実際に電子顕微鏡でインプラント表面と骨との間を観察すると、プロテオグリカンの層が存在することが確認でき、直接“結合”はしていません。
◾️インプラントってどれくらい持つの?インプラントの寿命は?
『インプラントの寿命?ってどれくらいなの?』
インプラントに関しては人工材料となるため残存率(お口の中に残っている割合)という表記となります。一般に10年での残存率は95%以上(10-year implant survival rate of 98.8% , Buser et al. 2012)と言われ、とても高い数値となっております。
歯周病のある被験者を対象とした20年の前向き研究では、インプラントの残存率は93%であったと報告されています(Roccuzzo, 2022)
ちなみに、ブローネマルク博士がインプラントを施術した初めての患者さんであるGösta Larssonさんは、彼が死去するまでインプラントは機能し、その期間は驚くことに40年間以上でした。
◾️インプラントは絶対ダメ?否定的な報道に関して
一時期、インプラント治療に関して否定的な報道がなされることもありましたが、その背景として2000年より前のインプラントでは、インプラント表面の問題で治療の成功率が低いこともありました。
しかしながら研究が進み、以前は様々な材質・形態のインプラントが市場に出回っていた時代がありましたが、1980年代から純チタンスクリュータイプのインプラントが主流となりました。
1990年には各社から様々な荒さのインプラント表面性状が開発され、2000年にはインプラントの表面性状が、中等度の荒さ(microrough implant surfaces)が望ましいと明らかになり、それに伴いインプラントの成功率も高いものとなりました。
インプラントの歴史は、多岐に渡るため、どの時点でのインプラント治療に対して論じでいるか?で情報を整理することがとても重要となります。
また、体験談などでインプラント治療を評価してしまうと、情報収集の方法によってはマイナスの印象のみが集まり、治療自体に否定的な考えとなります。研究の視点からですと、全体の被験者の数が重要で、『何人中何人が失敗したのか?』と客観的に評価します。
つまり、体験談は数として1でしかなく、全体で何%が失敗しているのか、その背景の数は不明となっている点が問題となります。実際には、前述したようにインプラント治療の残存率は95%以上と非常に高いものであり、受けた患者様の満足度も高い治療方法であると評価できます。
文責:歯科医師 / 歯学博士 三浦 基
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